or WASTE

JAPAN

[Tokyo] 多様な担い手、裾野が広がるフードロス対策

ph01出典元:「AXIS」2016年5月発刊号 フードデザイン → Food Design
text by Sawako Kimijima (『料理通信』編集長)
photographs by Makoto Fujii

年間に世界で生産される食料の3分の1にあたる約13億トンが廃棄され、日本でも本来食べられるはずの食品が約642万トンも捨てられているという。人口増による食料危機の可能性が確実視されるかたわらで、食料を無駄にしている現実が横たわる。
そんなフードロス問題に取り組もうとする動きが顕在化しはじめた。

毎週末、東京・渋谷の国連ビル前でファーマーズマーケットを運営するメディアサーフが立ち上げたのが「Re-Think Food Project」。
ph02推進者のひとり、竹田潤平さんは次のように語る。「マーケットをスタートさせて6年、集う人々が増える一方、売れ残った食材の行方という課題も抱えていました。知り合いの飲食店に引き取ってもらうにも限界がある。根本的な解決法はないものか、模索していた」。

竹田さんは、周囲を巻き込むことによって、フードロスという社会問題への意識喚起にもなればとプロジェクトを立ち上げる。2015年の大晦日には、渋谷・神宮通公園でキックオフイベントを開催。地元の明治通り宮下パーク商店会に呼びかけたり、クラウドファンディングで資金を調達しながら、マーケットの売れ残り野菜でつくったスープや軽食をふるまった。また、2016年3月19、20日のファーマーズマーケットでは、前週の売れ残りでつくったスープとパンを販売したが、ユニークなのが値段の設定。300~700円の幅のなかでくじ引きで決めたのであ。「余った食材の新たな循環と価値化を考えるうえで、価格の付け方はまだ模索中ですね」。
ph03ph042015年に開催されたミラノ万博は「地球に食料を、生命にエネルギーを」を掲げ、食糧危機に向けた課題解決を探る場でもあったが、万博会場で出た余りもの食材を使って、シェフたちが交代で料理をつくる「アンブロジアーナ食堂」が注目を集めた。三ツ星シェフのマッシモ・ボットゥーラが中心となり、アラン・デュカスや成澤由浩ら世界のトップシェフも参加。キリスト教系慈善団体がサポートし、 スタッフの多くをボランティアが務め、職を失った人たちや子供たちに無料で提供された。

フードロスへの取り組みは、社会活動と経済活動の領域にまたがる。それだけにユニークな試みが登場する可能性も高い。メディアサーフは、古本や古着などライフスタイル全般に広げたRe-Think Your Thinkingを2月に実施。「いろんなカルチャーへと裾野を広げていきたい」と竹田さんは言う。ロス解消に向けてさまざまな動きが確実に活発化していく。

 

GET INSPIRED

苦境をバネに生まれる味 岩手を訪ねて~矢巾から遠野へ~
日本には、「あるはないに勝る」ということわざがあります。何事であれ、何もないよりは少しでもある方がまし、という意味の慎ましい表現は、今ある恵みに感謝し、その恵みを最大限に活用することの大切さを思い出させてくれます。
伝統と革新の地 青森県津軽を訪ねて
青森県に広がる緑豊かな津軽平野。今では農業の中心地として豊かな恵みをもたらすこの平野は、北は八甲田火山群と接し、南はブナなどの原生林で覆われた白神山地、西側は日本海に面していることから、その昔、人間が近づくことのできない地域として知られてい...
[Tokyo] 竹のバイオマス原料で作られた子供用食器 家族と囲む豊かな食卓と環境に寄り添う「Reale(レアーレ)」
環境保全の観点から、石油資源を原料とし生分解性がないレジ袋利用の抑制が世界各地でうたわれ、フランスにおいては、使い捨てのプラスチック製食器を禁止する法律が制定されるなど
[Hiroshima/Tokyo]ー黒くて大きなパンが増えていく理由ー  パン職人たちの「捨てない」意識と「捨てない」仕事
3月24日の朝日新聞夕刊1面を「『捨てないパン屋』の挑戦」と題する記事が飾りました。広島のパン屋「ドリアン」の田村陽至さんが「捨てないパン屋」を目指すに至った
[Amsterdam]  廃棄フード救出レストラン、登場!
アムステルダムでは、廃棄の運命を辿る食べ物を救出する“フードセーヴィング・レストラン”「インストック」が登場し、話題を呼んでいる。「世界中で食料品の約3分の1がゴミとなっている状況を変えたい……」と